寿陵(生前墓石)について

 「寿陵」とは生前にお墓を建てることを言います。

寿陵の歴史は古く、秦の始皇帝やエジプト王などが絶大な権力を利用し生前陵墓、つまり寿陵を建てていました。

発掘された始皇帝陵(副葬品;大量の兵馬俑)やピラミッドなどは世界遺産となっているので皆様も耳にしたことがあると思います。

また日本においては、聖徳太子や天皇家も寿陵を建てていたことが『日本書紀』などに記されています。

 近年、寿陵を建てる理由の一つは、もちろん権力を誇示するためではなく、後を継ぐ子孫に負担をなるべくかけないようにとの配慮からです。

他には、納得のいくお墓をじっくり考えて建てられることが理由として挙げられます。家族全員で相談しながらお墓を建てられる楽しみは、寿陵ならではといえるでしょう。

 これから団塊の世代がお墓を建てていったときに、人気の高い墓地は早く無くなるので、希望する地域にお墓を持てなくなる可能性があります。

備えあれば憂い無し、人よりも早めに墓地を確保しておくことで、心にゆとりが生まれるのではないでしょうか。

 

寿陵を建てた後 ―寿陵との付き合い方―

 寿陵のことを逆修墓と呼ぶこともあります。

「逆修」(ぎゃくしゅ)とは仏教用語で、生前に自分のために位牌や墓石を用意し、法事を営んで冥福を祈ることをいいます。

『地蔵本願教』では逆修の功徳は計り知れないとされていますが、生前に建てる寿陵はまさにこの逆修にあたるそうです。

 実際のところ、そんな難しいこと言われてもなかなか思うようにはいかないということで、ある寺院さんでは、次のような方法で寿陵とお付き合いをされては如何でしょうか、とお話しております。

 一つは、実家のお墓が遠くてお参りに行きたくても行けない場合、寿陵の中に実家墓所から持ち帰った土をお納めし、ご先祖をお祀りする。

もう一つは、写経をしたためた紙に願い事(無病息災など)を書いて、それを寿陵に納めてお参りする。

これらは寿陵との素晴らしい付き合い方だそうです。
 
 さらに、寺院墓地の場合、定期的に法話・法要がありますので、その行事に参加してお墓参りとお掃除をすれば、先ほど述べました「逆修」にもなりますし、墓石も良い状態であり続けます。

寿陵を活用して、心穏やかな日々をお過ごしいただければと願っております。